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小説(外国文学) Archive
アリス・マンローの2冊
- 2008-01-26 (Sat)
- 小説(外国文学)
『イラクサ』アリス・マンロー(訳・小竹由美子)読後、まず思ったのは、ノーベル文学賞レベルではないのか、ということ。訳者の小竹由美子さんによれば、じっさいに候補として名前が挙げられているという。納得する、技術レベルが遥かに超えている。この『イラクサ』から読み始めたのだが、アリス・マンロー独特の文体のせいで、ぐるっと一周はしり読みしただけではその良さが分からなかったくらいだ。もちろん彼女がこれまで獲得してきた華々しい称賛の数々も、念頭に置いて判断すべきだったのかもしれないが。いささか広告じみた文言に閉口するなんてことは今の社会、よくある話でもある。
どこがいいのと投げ出す寸前の私を繋ぎとめたのは、カバーに印刷された彼女の写真だった。べつに顔で小説を書いているわけではないのだが、この雰囲気でダメダメな小説を書くはずがないと、私の頭ではなく心がそう主張したものだから(心は脳が作り出したとか言わないでね 笑)、もう一周まわってみたというわけだ。あまり良過ぎると下手に見えるのか。それとも日本での認知度が低く、どこの馬の骨かと私の差別意識が撥ね返してしまったのか。(2度目の)読後に理解した。その辺の作家では太刀打ちできないと思う。これはノーベル文学賞レベルだ。
『ゴリオ爺さん』 バルザック
- 2007-10-06 (Sat)
- 小説(外国文学)
そうですわ、ラスティニャックさん、世間というものをありのままに扱わなければいけません。(略)あなたは冷静な打算を働かせれば働かせるほど、出世できるのです。容赦なく打撃をあたえなさい。そうすればあなたはひとに恐れられるでしょう。宿駅ごとに乗りつぶしては捨てていく駅馬のように、男も女も扱うことです。そうすればやがてあなたは欲する絶頂に達することができましょう。おわかりでしょうけれど、あなたに関心をいだく女性がいなければ、社交界ではあなたはものの数にもはいりませんのよ。あなたには、若くてお金があって優雅な女性が必要です。しかし、たとえあなたに真心からの気持ちがあったとしても、それは宝物のように隠しておかなければいけません。ほんのちょっとそれに気づかれただけで、あなたの身は破滅です。あなたはもう死刑執行人ではなく、犠牲者となってしまうのですから。もしあなたが愛情をおもちになったら、秘密をよく守ることです。相手の人柄をとくと見きわめないうちは、決して心を開いてはいけません。現実にはまだ存在しないあなたの恋をあらかじめ守るためには、世間に気を許さぬ修行をなさることですわ。(世界文学全集 21 バルザック/訳・高山鉄男 72頁)
『獣人』 エミール・ゾラ
- 2007-07-12 (Thu)
- 小説(外国文学)
『獣人』(1890年)は、ルーゴン=マッカール叢書の第17巻目となる。当初の計画通り、フランス第二帝政期を背景として、アデライード・フーク(通称ディッド叔母)を祖にした一族が、社会のあらゆる階層へと向かい根を張り枝分かれていくさまを、当時の医学、心理学、生理学などを駆使してダイナミックに展開させていったが、そのなかでも本書は犯罪と鉄道という2大テーマを統合させた、ゾラの作品中もっとも血が流れ死体の山が築かれた、パリ全体に悪夢を見させる凶暴なドラマとなっている。
このことは執筆前に予め決められていたようすで、まず登場人物の階層を5つに分けて、それから叢書全20巻をそれぞれのテーマに沿って描いていくのだが、19巻目の『破壊』と20巻目の『パスカル博士』は「戦争小説」と「科学小説」にしようと早い段階で決まっていたようで、18巻目の『金』まもた、「証券取引に関する小説」にするつもりだと友人のジャーナリストへの手紙にしたためている。
そこで残された1つの枠(17巻目)に、ゾラ的に充てたいテーマとして「犯罪」と「鉄道」のふたつを並べ、けっきょくゾラは両方とも採用して、「鉄道という枠組みのなかで何らかの恐怖のドラマを仕立て、司法界も見通せるようにした犯罪の研究を行おうと思う」と友人への手紙に書き記している。
『テレーズ・ラカン』 エミール・ゾラ
- 2007-01-13 (Sat)
- 小説(外国文学)
「生半可な親切さと、むかつくような優しさで、わたしは動物みたいに飼い慣らされてしまった。わたしもうそをつくようになり、ずっとそうしてきた。いつかはぶってやろう、噛んでやろうと夢見るだけで、おとなしく、おしだまったままの女になってしまったの」(48p)藤原書店の『初期名作集 ゾラ・セレクション』には、テレーズ・ラカン(1867年)と共に、みじかい小説が7本入っている。引き立て役(1866年)、広告の犠牲者(1866年)、ある恋愛結婚(1866年)、辻馬車(1868年)、猫たちの天国(1868年)、コクヴィル村の酒盛り(1879年)、オリヴィエ・ベカーユの死(1879年)。その他、テレーズ・ラカン第2版への序文と、ゾラへ宛てた評論家の手紙も加えられ、ルーゴン=マッカール叢書以前のゾラと出会える1冊となっている。
ジョルジュ・サンド
- 2007-01-10 (Wed)
- 小説(外国文学)
ちょっと気になる人、ジョルジュ・サンド(1804-76)。フレデリック・ショパンの恋人だったとか、初期のフェミニストであり、不公平と貧困、死刑と牢獄にも反対していたとか、そういったことはともかくとして、ゾラの小説を買って付いてきた藤原書店の小冊子に、彼女の小説『スピリディオン』について、すこし紹介文が載っていた、それを読んでちょっと気になるのだった。
紹介文によると、この小説は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に、決定的な影響を与えた作品だという。ゾシマとアリョーシャの対話が、この小説のアレクシとアンジェロのそれを踏まえたものらしい。といってもドストエフスキー、私は苦手でろくに読んじゃいない(汗)ああ、そろそろ彼とも仲良くならないと…。
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