カタヨリ紙

終電前のブンガク雑談サイト 

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アルチュール・ランボー、地獄の季節から。

私は好んだ、荒野、焼き焦がされた果樹園、色あせた商店、そして生ぬるい飲み物などを。異臭を放つ小路から小路へとうろつき廻って、私は眼を閉じたまま、焔の神・太陽にこの身を捧げていた。
「将軍よ、崩れかかったおまえの城壁に、一門の古びた大砲が残っているのなら、乾いた土塊(つちくれ)をこめて、おれたちを砲撃してくれ。きらびやかな店舗のガラス窓を狙え! サロンのなかへぶち込め! 街じゅうに土ぼこりを食らわせてやるのだ、樋嘴(ひはし)は錆びつかせろ。閨房には燃えるように熱いルビーの粉を充満させろ……」
おお! るりぢしゃに懸想(けそう)して、旅籠(やど)の共同便所に酔い痴れている羽虫、そいつも一条の光に溶けてしまうのだ!
(『ランボー全詩集/宇佐美斉・訳』287頁~)

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『感覚』 アルチュール・ランボー

夏の青い夕暮れに ぼくは小道をゆこう
麦の穂にちくちく刺され 細草を踏みしだきに
夢みながら 足にそのひんやりとした感触を覚えるだろう
吹く風が無帽の頭を浸すにまかせるだろう


話しはしない なにも考えはしない
けれどかぎりない愛が心のうちに湧きあがるだろう
そして遠くへ 遥か遠くへゆこう ボヘミアンさながら
自然のなかを―― 女と連れ立つときのように心たのしく


『坂道』 とこみんさん

どこにおきますかわたしの手
ひらかない地図の崖下に道しるべは
二つに折れて
湖床に根をおろす
一本の立ち木が火をはなつ
ゆらめくかげり絵
むしろこぼれ落ちる木の葉
散り乱してこそ
つめたい嘔吐をかみころし
黙る水面をかすめて
空林に風が鳴る
風化した枝が折れこだれても
いとわしい弾丸には屈しない
ふたたびの難破にむかい坂道をのぼる手は
夕日を映す落ち葉にたゆとう
くれないに染めて木の葉
ない森に
ちりばめる

アルチュール・ランボー、太陽と永遠。

※『ランボー全詩集』宇佐美斉訳(ちくま文庫)より抜き出しました。

中原中也の骨

ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きてゐた時の苦労にみちた
あのけがらはしい肉を破つて、
しらじらと雨に洗はれ
ヌックと出た、骨の尖(さき)。


それは光沢もない、
ただいたづらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。


生きてゐた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐つてゐたこともある、
みつばのおしたしを食つたこともある、
と思へばなんとも可笑しい。


ホラホラ、これが僕の骨――
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残つて、
また骨の処にやつて来て、
見てゐるのかしら?


故郷の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立つて
見てゐるのは、――僕?
恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがつてゐる。


『骨』/『中原中也詩集』大岡昇平 編(岩波文庫)


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