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詩 Archive

アルチュール・ランボー、地獄の季節から。

  • 2007-06-30 (Sat)
私は好んだ、荒野、焼き焦がされた果樹園、色あせた商店、そして生ぬるい飲み物などを。異臭を放つ小路から小路へとうろつき廻って、私は眼を閉じたまま、焔の神・太陽にこの身を捧げていた。
「将軍よ、崩れかかったおまえの城壁に、一門の古びた大砲が残っているのなら、乾いた土塊(つちくれ)をこめて、おれたちを砲撃してくれ。きらびやかな店舗のガラス窓を狙え! サロンのなかへぶち込め! 街じゅうに土ぼこりを食らわせてやるのだ、樋嘴(ひはし)は錆びつかせろ。閨房には燃えるように熱いルビーの粉を充満させろ……」
おお! るりぢしゃに懸想(けそう)して、旅籠(やど)の共同便所に酔い痴れている羽虫、そいつも一条の光に溶けてしまうのだ!
(『ランボー全詩集/宇佐美斉・訳』287頁〜)

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『感覚』 アルチュール・ランボー

  • 2006-08-10 (Thu)
夏の青い夕暮れに ぼくは小道をゆこう
麦の穂にちくちく刺され 細草を踏みしだきに
夢みながら 足にそのひんやりとした感触を覚えるだろう
吹く風が無帽の頭を浸すにまかせるだろう


話しはしない なにも考えはしない
けれどかぎりない愛が心のうちに湧きあがるだろう
そして遠くへ 遥か遠くへゆこう ボヘミアンさながら
自然のなかを―― 女と連れ立つときのように心たのしく


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『坂道』 とこみんさん

  • 2006-06-22 (Thu)
どこにおきますかわたしの手
ひらかない地図の崖下に道しるべは
二つに折れて
湖床に根をおろす
一本の立ち木が火をはなつ
ゆらめくかげり絵
むしろこぼれ落ちる木の葉
散り乱してこそ
つめたい嘔吐をかみころし
黙る水面をかすめて
空林に風が鳴る
風化した枝が折れこだれても
いとわしい弾丸には屈しない
ふたたびの難破にむかい坂道をのぼる手は
夕日を映す落ち葉にたゆとう
くれないに染めて木の葉
ない森に
ちりばめる

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アルチュール・ランボー、太陽と永遠。

  • 2005-10-07 (Fri)
※『ランボー全詩集』宇佐美斉訳(ちくま文庫)より抜き出しました。

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中原中也の骨

  • 2005-04-08 (Fri)
ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きてゐた時の苦労にみちた
あのけがらはしい肉を破つて、
しらじらと雨に洗はれ
ヌックと出た、骨の尖(さき)。


それは光沢もない、
ただいたづらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。


生きてゐた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐つてゐたこともある、
みつばのおしたしを食つたこともある、
と思へばなんとも可笑しい。


ホラホラ、これが僕の骨――
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残つて、
また骨の処にやつて来て、
見てゐるのかしら?


故郷の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立つて
見てゐるのは、――僕?
恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがつてゐる。


『骨』/『中原中也詩集』大岡昇平 編(岩波文庫)


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