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アルチュール・ランボー、太陽と永遠。

※『ランボー全詩集』宇佐美斉訳(ちくま文庫)より抜き出しました。

『永遠/後期韻文詩』 『ことばの錬金術/地獄の季節』
あれが見つかった
何が――永遠
太陽と共に去った
海のことさ


見張り番の魂よ
そっと打ち明けようよ
あんなにもはかない夜と
燃える昼とについて


世間の評判からも
月並みな方向からも己を解き放って
自由に飛んでゆくがいいのだ


なぜなら サテンの燠よ
ただお前だけから
義務は立ち現れるのだ
ついに などという間もなしに


そこでは望みという徳も
復活の祈りも無用だ
忍耐をともなう学問
つまり責め苦こそが必定だ


あれが見つかった
何が――永遠
太陽と共に去った
海のことさ

あれが見つかった
何が? 永遠
太陽と溶けあった
海のことさ


ぼくの不滅の魂よ
おまえの誓いを守るがいい
独り身の夜と
燃える昼にはおかまいなしに


従って 世間の評判からも
月並みな方向からも
己を解き放って
気ままに飛んでゆくがいいのだ…


――望みもなければ
復活の祈りもない
学問と忍耐 つまりは
責め苦こそが必定だ


もはや明日はない
サテンの燠よ
おまえの灼熱こそが
果たすべき務めなのだ


あれが見つかった
――何が? ――永遠
太陽と溶けあった
海のことさ





『地獄の季節』は、アルチュール・ランボーが世に送り出そうとして、まとめて書きあげた最初で最後の詩集だそうです。
19歳、ポール・ヴェルレーヌとの、凄まじい共存生活。泥酔したヴェルレーヌは、拳銃でランボーの左手首を傷つけ、逮捕される。ひとりきりになったランボーは、田舎の実家に帰り、この詩集を書きあげたという経緯でした(映画『太陽と月に背いて』が詳しいです)
宇佐美先生によると、その内容は、
「白痴のおぞましい高笑いをもたらした」春への言及に始まり、終章「別れ」における秋の到来をもって幕を閉じる。つまり地獄でひと夏を過ごした語り手の報告というのが、自伝的な要素ないしは自己規定の試みとしての性格を多分に持つこの作品の虚構の大枠である。(244p)


先に抜き出した詩は(右)この『地獄の季節』の全9章のうちの、5番目に入っていて、もっとも重要視され、解釈されている箇所だそうです。カンタンに言うと散文と詩節が交互に配置されている。その詩のほとんどは、過去に書かれたもので(左)「自己引用によって飾られ、あるいは論証された自己批判」(282p)であり、このような手法は文学史上、あまりないということでした。


さて、ランボーその人について、私は書きたいことが沢山ありますが、ここには簡易版で―。
この口の悪さや激しさや、少女のような可憐さや、そして哀しみただよう語り口は、彼の生きざま、そのものでしょう。厳しい母と、放浪癖のある父親とのあいだに生れた彼は、その両方の気質を受けて、厳しく、また放浪もし、苦悶します。ことに、ヴェルレーヌとの、同性愛。貴婦人の胸元に飾られたフリルのような男ですからね、ヴェルレーヌは(笑)だけども、彼がいたからこそ、ランボーもひととき輝くことができた。彼との別れは、ひょっとして、ランボーの望みどおりだったかもしれません。こんな狂った生活からはやく足を洗いたい、そう思っていたでしょう。そして、別れたあと、ランボーは断筆し、働いて稼ぐという生活に転じます。南へ、南へと、進んで行く。それは過酷な仕事だったという。過去をふりかえり、ヴェルレーヌを思い出す間もないほどの、過酷な仕事を続けたということでした。
37歳、右膝の静脈が腫れ、激痛、歩行困難になり、右脚は完全に硬直します。そして右脚切断の手術をうけますが、全身転移癌により、亡くなります。最期は司祭のすすめによって、懺悔の言葉を述べたということです。


ランボーにとっての、太陽と永遠は何か。
時間的概念をいっさい排除したところに、太陽も永遠もある、のかもしれないが、引用した詩を読むと、やはり、太陽と永遠は、ランボーの遥か向こうがわに見えている、目指すべき場所、いつかランボーが訪れるのを待ってくれている場所、やすらかに眠ることができる場所、そういう場所を、見た、というふうに、私には読めました。いつものことながら、おばさんの勝手な解釈ですが(恥)


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