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『ハリウッド・リライティング・バイブル』 リンダ・シガー

ハリウッド・リライティング・バイブル素晴らしいアイデアを得たからといって、素晴らしい脚本が作れるわけではない。また、素晴らしいアイデアを単に紙に書き留めたからといって素晴らしい脚本になるわけでもない。脚本は他のいかなる書きもの以上に作文レベルでは通用しない。ライティングと共にリライティングによって脚本は素晴らしいものとなる。ライティングとリライティングの基本原則は同じものといえる。
『ハリウッド・リライティング・バイブル』 イントロダクション

「ハリウッド」に反応して鼻でわらい、「バイブル」と聞いてマニュアル? と思った人、ハズレです。これはヒジョーに難しい本で、こんなふうに考えることもあります。「これが分かる人は、読まなくても分かる人ではないか」と。つまり、書ける人だけが分かる作りの本ではないかと。難しい言葉は使っていません。できるだけ分かりやすく説明しようと努力しているふうにも見えます。しかし、技術は「頭」じゃなくて、「身体」が会得することだから、感覚として分からなければ分かったことにはならないのです。書けなければ意味がない。結果が全てです。そういう厳しい本なのです。イントロダクションの続き↓ 

最初は初稿を“申分なく”仕上げるためにリライトをする。次に、友人たちのいくつかの提案を受け、“ちょっとよくなったかな”程度にリライトをする。さらには、エージェントの“よりマーケットに適したものにするために” という提案を取り入れる。プロデューサーとディベロップメント・エグゼクティブ(企画・開発担当の管理職)は“承認の判を押す”ことができるよう、さらにリライトを求めてくる。そして役者は自らが演じる役についてのアイデアを持ち“さらにほんの少しだけ”手を加えることを望んでくる。
何をリライトすべきか明確で、すべてのリライトが脚本を改善するなら、上記のようなやりとりはまったく結構なことだ。しかし、残念ながらそういったことはほとんどない。映画やテレビにはひどい脚本がとても多く、「ならば自分がライターになってやろう!」と決心する人がたくさんいるかもしれない。しかし「間違いなく自分のほうがもっとよいホン(脚本)を書けます!」と主張してもプロデューサーはとりあってくれない。しまいには脚本を突きつけ「あなたが今までに読んだ、どのホンよりもずっと素晴らしいんだ!」、と抗議する。するとプロデューサーからはこう答えが返ってくるだろう。「当然だ、誰でもいい脚本は書ける。大切なのはリライトで台無しになった後でも、まだしっかり機能するような脚本かどうかだ」。
これが現実なのである。多くの脚本はリライトの過程で段々ひどくなっていく。脚本が本来の着想から離れれば離れるほど混乱の度を増し、魅力を失いはじめる。5回のリライトによって脚本からはビートが欠落してしまい、ある要素はもう意味をなさないだろう。12回のリライトともなると、ストーリーは初稿とはまったく別物になっており、もう誰も映画化しようとは思わなくなってしまう。
解決策は「リライトをしないことだ!」。そのように思われるかもしれないが、それは選択肢ではない。ほとんどの脚本には、必ずうまく機能していない部分がある。ライターによって初稿の中に与えられた、すべての創造性と魅力を持ってしても、まだ脚本は機能していないのだ。多くは書き込み過ぎが原因となっている。単純に長すぎるため、その脚本では成功する映画を作りだせない。また、多くのライターは創作の中で、伏線を処理したり、登場人物の一貫性を保っていたり、サブプロットを終わらせるといったことを忘れてしまいがちである。あるいは、脚本の中にライターでさえも気づかないアイデアの種といったものを持っていることもあるだろう。そのアイデアの種は、ライターがストーリーを深く探求することによってのみ手にすることができる。リライトなしでは、そういったアイデアの種はすべて眠ったまま取り残されてしまうだろう。
以上のことから何が導きだされるだろうか。そもそも正しいリライトの方法というものはあるのだろうか。実はそんなに難しいことではない。脚本の中で、ただうまく機能していないところだけを直し、それ以外はそのままに残せばいいのだ。しかしこれを行うには一つ問題がある。それは、「もっともっとリライトしてしまえ」という誘惑に逆らって仕事をしなければならないからだ。新しく浮かんだアイデアや、エキサイティングではあるが、決して問題を解決しないアイデアで自分を見失ってはならない。脚本全体を直すのではなく、ただ機能しないところだけを直すこと。新しい創作の虫が動きだしてきても踏みとどまることが非常に重要である。(略)また、ライターにリライトの提案を行う際は、脚本を“軌道に乗せる”よう意図されるべきであり、決して軌道から外すためのものであってはならない。
(『同』・同)

抜き出しが、長い、汗。
ここです。「軌道に乗せる」ためにはどうすればいいのか。これがリライトの技術なのですね。
まず気づくことが大切で、どこが「軌道に乗っていない」のか、ここが見えないと的確に直しようがないわけで、全部で300頁以上もの厚みのある本ですが、イントロダクションの後、実例も交えて延々と説明しています。「ただ機能しないところだけを直すこと」、この難しいことといったらないです。先に書きましたけど、読んだから分かるという本ではなく(活字なら誰でも読める)、平行して自分も一緒に書いていくことで、その経験の積み重ねでしか理解することができないわけです。アマゾンさんの書評に何か書かれてましたけど、この本の著者、リンダ・シガーさんは「スクリプト(脚本)・ドクターと呼ばれる著名なコンサルタント」屋さんで、ハリウッド相手に物凄い数の脚本の相手をしているわけで、まぁハッキリ言って私などがどうこう言えるような方ではないです。
昔読んだ廣澤榮さんの本のなかに、糸口が見つからず、困り果てて、自分と似たような脚本を書いた人はいないだろうかと、自前の過去帳をひっくり返して探した、って話がありました。私も実際に先生方、何人か、目撃しましたけど、どの先生方も額に脂汗にじませて必死の形相で書かれています。「ただ機能しないところだけを直すこと」、さらっと書かれてますが、とんでもなく難しいことなのです。分かっても出来ない、終りのない創作活動の探求の場で、そのいちいちに於いて最善を尽くす。リンダ・シガーさんも書かれてますが、マニュアルなどないわけで、ただ糸口となるヒントは用意されているよ、ということだと思います。

いやもう難しいとしか言っていないな、この記事、笑。
私はもう脚本は書いてなくて、完全に小説へと移行してしまいましたが、頭がゴチャゴチャになると、この本を開きます。ポイントで押さえてくれる、それがとても有難いです。まだまだ、言ってる意味は分かりませんが…。一応、目次だけでも出しておきます。

■日本の読者へ
■プロローグ
■イントロダクション
■パート1:ストーリー・ストラクチャー
  第1章:アイデアをいかにまとめるか
  第2章:スリーアクト・ストラクチャー(3幕構成)
  第3章:サブプロットの役割
  第4章:アクト2-その勢いをどう持続させるか
  第5章:シーンを作る
  第6章:統一感のある脚本を作る
■パート2:アイデア・ディベロップメント
  第7章:アイデアに磨きをかける
  第8章:ストーリーに神話的な世界観を盛りこむ
■パート3:キャラクター・ディベロップメント
  第9章:モチベーションからゴールまで
  第10章:コンフリクト(葛藤)を見つける
  第11章:立体的で深みのあるキャラクターを作る
  第12章:登場人物の機能的な側面
■パート4:ケース・スタディ
  第13章:アカデミー賞への道のり
■エピローグ
■訳者あとがき、日本語版あとがき
■映画、テレビ作品―インデックス
■語句、人物―インデックス 

ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)
ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)
リンダ シガー Linda Seger フィルム メディア研究所

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