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スティーヴン・キング 『最後の抵抗』

プロローグ
おれにはわけが分からん。あんたもそうさ。
たぶん神様だってご存じじゃないだろう。
そいつは政府のやることにほかならんさ。
――ベトナムに関する街頭インタビュー。1967年ごろ。
(略)
1973年11月20日
なにも考えないようにして、せっせと事を運んだ。そのほうが安全だった。まるで頭の中に遮断器(ブレーカー)が付いているようなもので、心の片隅で、それにしてもなぜこんなことをしているのだ? と自問しようとするたびに、バシッと回路が切れるのだ。頭の一部が暗くなるのだ。おい、ジョージ、明かりを消したのは誰なんだ? おっと、ごめん。配線の具合が少し変な気がしたものでね。ちょっと待ってくれよ。スイッチを入れ直そう。これで明かりは戻った。でも考えは消えた。よし、異常なしだ。それじゃ、先を続けよう、フレディ――どこまで話したっけ?


、、、っとこんな具合に『最後の抵抗』は始まる。
どんな話なのか、説明しようとすると、するりとかわされてしまうような作品で、いわゆるストーリー追いで読めば、「ひとりよがり」とか「わけが分からない」とか評されてしまうだろうし、小説内部を解きほぐしていこうとすると、ひどく困難な壁がいくつも待ちかまえていて、ぶつかり、回れ右で帰るよりほかなくなってしまう。とりあえず、アマゾンの解説を。


『一本の高速道路がバートン・ドーズの人生を狂わせた―彼の自宅と、勤める工場との上に高速道路784号線が建設されることになったのだ。移転に抵抗するドーズは、妻に逃げられ、部下を失い、酒に溺れ、自暴自棄になってゆく。さらには非合法に爆薬を入手して、工事現場を破壊、そのうえ、家中に爆薬をしかけて最後の時を持つ―。日常と紙一重の狂気を内側から描き、作者自ら、「もっとも愛着ある作品」と語る異色サイコ・サスペンス』


しかしこれは、ここに高速道路を作る必要があるのかないのか、という話ではなくて、「日常と紙一重の狂気を内側から描」いたとも断言できない、もっと複雑で切実な理由が隠されているように思うのだが…。
小説とは、論理的に構築されていく表現活動のことで、だから私たち読者は無意識のうちに「その理由」を求めているだろうと思う。なぜ主人公はそれを選ぶのか、なぜそう思うのか、どういう経緯があるのか等々、読みすすめて行くごとに、そのひとつ1つを同時に理解しようとするし、自分に引き寄せられない場合は「ひとりよがり」とか「わけが分からない」とかいう感想になるだろうとも思う。
『最後の抵抗』は、「その理由」が定かではないことにおいて、分かりにくいが、そのぶんリアルに出来上がっている。現実に起こるさまざまな事件は、「これが原因です」と一応は決めてかかっても、じっさいには「原因」などはないのがフツーなのだ。それをスティーヴン・キングはバックマンになりすまして思う存分にやって見せたわけだ。ヘタな純文学を読むより純文学。スティーヴン・キングは、やっぱりスゴイのである。


最後の抵抗
スティーヴン キング Stephen King 諸井 修造

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※カスタマーレビュー・ピックアップは、別の本のものです(なぜ?)

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